
こんにちは、マフラーマンです。
昭和時代に今まで数々の漫画を制作し、漫画界の一時代を築いた手塚治虫。
鉄腕アトムを書いたことは世間に広く知られていますが、火の鳥もその一つ。
文字通り悠久の時を生きる火の鳥が様々な時代に生きる人間を見守る物語です。
管理人は未来編が昔から好きで、中学時代から愛読していました。今は経済上の問題故に売ってしいましたが、その時の記憶は鮮明に覚えています。
今回は火の鳥未来編の感想について中学時代の記憶を辿りながら述べていきます。
火の鳥未来編の感想をまとめる
火の鳥未来編の感想は一言で言えば、「人間の歴史どころか46億年の生物史を一冊にまとめた壮大すぎる作品」です。
タイトルに「未来編」と打っていますが、未来すぎますよ。なんせ人間が滅亡した後のはるか後の話も先生が執筆されていますから。
むしろ、「46億年編」と打った方がいいでしょう。中学時代に「こんなにスケールの大きい話があるんだ」と感心しました。
漫画というより一種の叙述詩ですね。まるで新約聖書などの歴史上の書類を読んでいる気分です。
これだけスケールの大きい話を漫画で書けたのだから、手塚先生の偉大さには驚かされます。
未来編のように壮大すぎる漫画作品はこの世にそうそうないでしょうね。
最後のループが手塚先生のメッセージ
生物46億年の歴史を辿る未来編のラストは、なんと「卑弥呼の生きている弥生時代」に逆戻りします。つまり、黎明編(感想は「【火の鳥黎明編の感想】勝者こそが正義という過酷な現実【続きアリ】」で考察済み)へと繋がり物語が永遠に繰り返すわけです。
あまりの衝撃すぎる結末に我ながら腰を抜かしてしまいましたよ。ラストがループとは、昔どころか今の作品でもそうそうお目にかかれるものではないです。まるですごろくでいうふりだしに戻ったような気分。
管理人なりの解釈ですが、この作品では手塚先生の伝えたいメッセージは、「歴史は一直線上ではなく、無限に繰り返すもの」だと。
学校の授業では、歴史は文明が徐々に進歩していく一直線上のものだと教えられますが、アトランティスなどの超文明の存在や未来少年コナンなど文明崩壊した後の作品を考えると、「歴史は発展→崩壊→再生と繰り返し」だと考えさせられます。
中国史も王朝の建国や崩壊の繰り返し。今香港ではデモ騒ぎになっていますがこの騒動も歴史ループの一過程として後々組み込まれるでしょう。
まとめてみると、「歴史は繰り返すもの」だというメッセージを、漫画で、昭和の世に、発信した手塚先生は凄いです!
マサトに降りかかる長過ぎる孤独
元々メガロポリスヤマトの市民だった主人公のマサト。
彼は人類滅亡後に火の鳥から永遠の生命を授かり、新たな人類が誕生するまで何十億単位の孤独な日々を過ごすことを運命付けられるのです。
何十億年の日々を人類誕生まで話し相手なしに1人で過ごすんですよ!寂しいというレベルを遥かに超えています。ワンピースのブルックの比ではありません。
話し相手が欲しいのに、自分以外の人間どころか生物でさえ滅亡し、コールドスリープで千年以上眠っていた人間でさえ既に命を落としている現状。マサトの絶望は計り知れません。長すぎる壮大なアイアムレジェンドですよ。
管理人ならば、わずか2年でひねくれてしまいます。その億年の歴史を人類誕生まで見守ったマサトには本当に素晴らしいです。
黎明編の卑弥呼がマサトが永遠の生命を手に入れたことを知ると、執拗に要求しそうですね。永遠に生きることは非常に辛いことなのです。
ナメクジ文明の愚かさ
未来編で46億年の歴史で恐竜が滅亡した後に台頭するのがナメクジです。
ナメクジが地上の支配者になったのは意外でしたが、「人間と同じ愚かな生き物」だというのが管理人の感想。
何故なら「自分こそ万物の霊長と驕り高ぶったから」です。
作中には今や神様的存在となったマサトとナメクジが会話しているシーンがありましたが、あの時点でマサトの教訓を真剣に耳を傾け戒めとして心がけていれば滅ぶことはなかったでしょう。
そうは言ってもどんな万物の霊長でも最後には滅びるのが世界の常です。まるで鳥人体系ですね。
序盤の重すぎる退廃感
未来編の最初は西暦3000年以上過ぎた後の地球から水さえなくなり、人類の住むところが5つの地下都市に限られた退廃した未来から始まります。
ヤマト含めた5つのメガロポリスは大都市らしく繁栄していますが、人々の心もどこか退廃感がある模様。
野望は一切持たず日々をただただ過ごしているようにも感じられます。
しかも、ハレルヤ含む電子頭脳に支配されているのでまさにディストピアといえるでしょう。
行政権や権力でさえもロボットに委ねているのだから驚きの設定です。転スラのリムル様クラスの指導者層がコンピュータならば、盲目的になるでしょう。
これだけ改善が難しいほど、地球が荒廃しているなら何にも考えずにコンピュータに従っているのも納得できます。
ハレルヤが王として愚かすぎた件
メガロポリスを支配しているのがハレルヤ。聖母感のある電子頭脳ですが、コンピュータ故に自分が一番正しいと信じています。
ロボットなら高い知能を持つならいいのですが、もう一つのメガロポリスの電子頭脳とマサト脱走の件で対立し、遂には戦争、人類滅亡へと突き進む結果となってしまいました。
本来なら守るべき市民を自分の短気で戦争に巻き込んでしまったことは本当に愚かとしかいいようがありません。
もし、冷静で知的なコンピュータなら市民の命を第一に国家情勢を見計らい戦争を避けようとしたのでしょう。あのロックでさえ戦争に猛反対するほどでしたから。
その電子頭脳に盲目的に従う市民達もまた愚かと言えるでしょう。戦争に猛反対すれば滅亡を免れたかもしれません。
まとめ
ここまで火の鳥未来編の感想を述べました。
- 46億年の歴史を1冊にまとめた叙述詩
- 未来編最大のメッセージは「歴史は繰り返す」こと
- マサトの十億年単位の孤独すぎる日々が重すぎた
- ナメクジ文明が人間の文明と似すぎた件
- 序盤の荒廃し水さえ無くなったはるか未来の地球
- 電子頭脳ハレルヤの自分の短気で人類滅亡の引き金を引いた愚かさ
手塚先生のメッセージが心まで伝わる未来編。
それは人類史において悠久に伝えなければならないメッセージかもしれません。
最後まで当ブログの記事を読んでくださってありがとうございます。